Friday, June 29, 2007

低コレステロールと発病が増す疾患・・17

  高齢化と低コレステロール・・その1

 低コレステロール血症によって、ガン、脳出血、感染症、自殺・事故死などが増すことは、良く知られたことです

 Neaton,JDらによる論文(Arch. Intern. Med.,152,1490~1500,1995)では、ガン、脳出血、肺疾患などの感染症が多くなるとあります。

 それ以前の調査、研究によって、、ハワイ在住の日系人においても同様の傾向が認められています。
 
 また、日系ハワイの高齢者(70歳以上)にあっての調査では、低コレステロールを伴なった高齢者は、慢性感染症や虚弱者の増加を見るとあります。

 低コレステロールが先か、結果として、低コレステロール血症になったかを考慮した検討がなされています。

 いずれの場合もあるのですが、いずれにしましても、高齢者にあっては、低コレステロールは、死亡率の増加を伴なうことは、間違いのないことと言えます

 我が国にあっても、低コレステロールに伴なった結核を含む肺感染症を代表として、感染症死は、増加するのです。

 高齢者にあっての低コレステロールによる障害では、ガン、脳出血、感染症に加えて、再生力や抵抗力の低下に加えて、既に散り上げてきましたように、脳神経系の活力を低下させていると考えられるのです。

 既に、何度も述べてきましたように、脳神経系は、グルコースと共に、コレステロールを必要とするレベルは、他の臓器や組織より、強いのです

 それ故に、低コレステロールは、めまい、シビレなどの神経障害やアルツハイマー病などのように認知能力の低下しやすい原因となると考えられています。

 私の経験では、高齢で低コレステロール血症が認める場合では、統合的な意識、意欲、活力の低下を招いている人が多いように思えるのです

 また、コレステロールは、細胞膜、細胞核やミトコンドリアなどの細胞小器官、皮膚などの組織にとっての安定化や再生に不可欠な役割を持っています。

 それ故に、寝たきりになった人でのと床ずれは、栄養障害性潰瘍と言われますように、その発生、修復に、栄養条件は大切な条件となります。

 私は、床ずれの発生予防や修復には、低コレステロールの改善は、重要だと観察しています。

 機会があれば、コレステロール値改善による効果を、キチンと検討したいと考えています。

 以上、高齢化と低コレステロールについては、今後の臨床的な検討が必要なレベルと言えます

 高齢者の男女にあっての、血中総コレステロール値、取り分け、低コレステロール血症者の分布と特徴について、検討してみましょう。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・BMI/肥満・・その4」を取り上げています)

 (楽天ブログ、ミクシイでは「素肌美障害とコレステロール代謝・・ビタミンD・・その6」を取り上げています)

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Thursday, June 28, 2007

低コレステロールが発症を増す疾患・・16

    
   気分(感情)障害と低コレステロール

 「気分(感情)障害者」が、「2007年版障害者白書」によりますと、アルツハイマー病などの高齢化に伴なう「認知症」ともども増加しているのです。

 こうした疾患患者にあっては、低コレステロール血症の人が、少なくないと言われているのです。

 精神的不安や意欲の低下などによって、食事も不十分になったり、栄養バランスを崩した結果による低コレステロール症の人も、多いと思います。

 最近は、朝食抜きの人や子供が少なくないと、食育の必要性が課題となっているぐらいです。

 こうした背景に、低コレステロールが問題となる、生徒や若者は少なくないと思うのです。

 前回取り上げましたように、低コレステロールに伴なった、脳内のセロトニン産生が低下したり、セロトニン受容体に問題が生ずると考えられています。

 血中コレステロール値低下に伴なった脳内セロトニン代謝障害によって、暴力性、攻撃性などの性格が亢進すると指摘されているのです。

 俗に言う、キレヤスクナルと想像できます。

 自殺、他殺、事故死が多くなり、トラブルを起こしやすくなるとの指摘があります。

 不登校や停学者になる生徒が多くなるとも言われるのです。


 低コレステロールが、ステロイド代謝に影響を与えていることも問題になるのではと、私は推察します。

 コレステロールから、性ホルモン、副腎の皮質ホルモン、髄質ホルモンなどが合成、分泌されます。

 性ホルモンは、性的調節を、副腎では、糖質コルチコイド、ミネラルコルチコイドと、人の情欲、情緒、感情に深く関わってきます

 ストレスホルモンといわれるホルモンも、副腎ホルモンに依存しています。

 血圧や血糖も、ステロイドホルモンの影響を強く受けます。

 こうした事実は、ステロイドホルモンのアンバランスの原因となり、「気分(感情)障害」を助長する可能性があるとも想像したくなります

 今回は、低コレステロールに伴なった脳内代謝やステロイドホルモンのアンバランスが、そう・うつ、登校拒否などの引きこもり、切れやすさ等々、現代社会にあっての「気分(感情)障害」に関与しているのではと推察中心のお話とします。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・BMI/肥満・・その3」 を取り上げています)

 (楽天ブログ、ミクシイでは 「素肌美障害とコレステロール代謝・・ビタミンD・・その5」を取り上げています)

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Wednesday, June 27, 2007

低コレステロールが発症を増す疾患・・15

  自殺・事故死・・その2

 そう・うつなどの気分感情障害者やアルツハイマー病などの認知症が、何故に、低コレステロール血症と関連するかを整理しておきます。

 ・人の全身のコレステロール量の内、四分の一は、脳に集中しているのです。

  つまり、神経細胞やミエリン鞘など、多量のコレステロールを必要としています。

  神経細胞膜にあってのコレステロールの必要性を示しているのです。

 ・脳内では、グルコース代謝同様、コレステロール代謝も、盛んで、必要とするホルモン代謝を独自に行うほどの必要性があるのです。

  脳関門を介さないで、必要成分の供給が可能となっています。

 ・セロトニン作動性神経系は、人の意識を総合的にコントロールする役割を担っているが、コレステロールの関わりが大切と言われています。

  セロトニン代謝と関係した抗うつ薬として、近年、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)が、多用されていることからも、その重要性が推察できます。
  
 ・極最近に発表、報道されましたように、コレステロールが神経細胞を成長させる栄養因子(BDNF)がコレステロールの合成をそくして、神経の情報伝達機序を発達させるのです。

  ここにも、脳内でコレステロールを合成する必要性があることを示すものとなります。

  神経伝達機序の発達は、上述のセロトニンやノルアドレナリンと共に重要であることを示しているのです。

   
  以上より、低コレステロールが如何に、脳の神経、取り分け、意識、感情コントロールに関わっているかの可能性を示すものとなっているかが判ります

  そう・うつやアルツハイマー病などの認知症で、自殺・事故死を増す誘引となっている低コレステロールが、始めからか、結果としてかは、今後の検討、研究が必要なレベルと言えます。

  しかしながら、私の経験では、低コレステロールの改善が、うつ傾向の人や心配性の人達の意欲の増加になることは、良く経験するように思います

 自殺者が、三万人を越えた現在、交通事故死が八千人ともども、低コレステロールが精神の健全さに関与している可能性は、重く受け止めている必要があると思います。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・BMI/肥満・・その2」を取り上げています)

 (楽天ブログ、ミクシイでは「素肌美障害とコレうてロール代謝・・ビタミンD・・その4」を取り上げています)

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Tuesday, June 26, 2007

低コレステロールが発症を増す疾患・・14

 自殺・事故死

 昨日(6月25日、2007年)のNHKのテレビ番組で、30歳代の管理職的立場の人達の「そう・うつ」的精神障害者が増加しており、自殺者も増えていると問題にしていました。

 既に、紹介しながら取り上げましたように、この6月15日に、政府は、「2007年版障害者白書」を発表しました。

 精神障害者は、初めて、303万人と300万人を突破したのです。

 取り分け、うつ、アルツハイマー病などの認知症の増加があるのです。

 そう・うつ病などの気分(感情)障害者では、90万人

 認知症では、高齢化社会に伴なって、15万人に及んでいます。

 そうした背景に、年間の自殺者は、遂に、3万人を越えたのです

 
 我が国の三大死因のガン、脳卒中、心臓病は、以下の如くです。

 ガン死者数は、年間30万人を越えています。

 現在、低下傾向を示す脳卒中は、脳出血と脳梗塞に分けられます。

 その内、脳出血死は、3万人脳梗塞は、9万人以下となっています。

 心筋梗塞死は、5万人ぐらいとなっています。

 
 以上より、自殺者が、三万人を越えたとの事実は、如何に、我が国の死因として、大きな位置を占めつつあることを示すものとなっていると判ります。
 

 低コレステロール血症によって、ガン死や脳出血死ともども、自殺・事故死が増すとの事実は、既に取り上げています、J-LIT臨床研究の結果にあっても、認められています

 スタチン系薬剤投与によって、ワザワザ、低コレステロールにして、その死者数を増しているのです。

 血中コレステロール値が、220~239mg/dlで、自殺・事故死者数は、最低となるのですが、180mg/dl以下となれば、三倍ぐらいの増加となっているのです。

 如何に、血中コレステロール値を、180mg/dl以下にすることが危険かということです。

 大櫛陽一著「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」(太田書店)のp.177で、20歳以上の男女を対象にして、血中総コレステロール値は、180mg/dl以下にしないこと

 また、LDL-コレステロール値では、100mg/dl以下にしないこととあります

 

 以上の事実は、「気分(感情)障害者」も含めて、如何に、低コレステロールが危険かを示すものだと思います

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・BMI/肥満因子」を取り上げています)

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Monday, June 25, 2007

低コレステロールが発症を増す疾患・・13

  脳卒中と低コレステロール・・その2

 今回は、若者成人の脳卒中発作の原因となりやすい脳低動脈解離症についてとします。

 我が国の国立循環器センターでの検討です。

 低コレステロール血症及び高血圧が危険因子だったのです。

危険因子として、調査、検討の対象となったのは、低コレステロール血症、高コレステロール血症、血中蛋白量、高血圧、糖尿病、貧血に加えて、喫煙とあるコロール摂取量などでした。

 その結果は、以下の如くでした。

 ・単変量解析結果では、低コレステロール、糖尿病、高血圧が、それぞれ、有意差ある関連性を示しました。

 ・多変量解析結果では、低コレステロールと高血圧でした。

 以上より、低コレステロールが、脳低動脈解離の独立した予測危険因子だと判りました。

 低コレステロール血症+高血圧のある人は、要注意となります。



 低コレステロールの人は、20~29歳の人達では多いのです。

 血中総コレステロール値が、180mg/dl以下の人は、40~49歳の男性では、18.3%、女性では、25.3%に対しまして、20~29歳の男性では、58.5%、女性では、57.3%に上ります。

 50~59歳では、男性では、21.0%、女性では、9.2%です。

 そして、近年での血中総コレステロール値の平均値の年次推移では、男女共に、20~29歳の人達では、減少傾向にあるように思います。
    
 ダイエット、栄養バランスの悪い食事などの影響となっているのでしょうか。

 若年層の人達の血中コレステロール値を、如何なるレベルに保つのが良いかを検討する必要があると思います。
       
 
 いずれにしましても、誤解のないように注意、記憶すべきは、脳低動脈解離症の発症の危険予測が、高コレステロールではなく、低コレステロールだということです。

 既に、何度も述べてきましたように、コレステロールは、細胞膜の安定性には無くてはならない成分なのです。

 加えて、人の脳では、全身の総コレステロール量の内で、その四分の一を含むほどの多くを占める程、必要としています。

 脳では、グルコースを多く必要としていることは、良く知られたことですが、コレステロールも、同様です

 それ故に、脳では、独自に、コレステロールを合成しているのです。

 そして、つい最近、脳の発達には、コレステロールが必須と報じられたばかりですが、コレステロールの重要性の一端を示すものだと思います。

 以上、脳出血のみならず、脳低動脈解離症など、血管の安定を損なう危険性を持つ低コレステロールは、危険因子だと言うことです

 (Dr.BERAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・テロメア長と冠動脈硬化症・・その2」を取り上げています)

 (楽天ブログ、ミクシイでは「素肌美障害とコレステロール代謝・・ビタミンD3・その2」を取り上げています)

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Friday, June 22, 2007

低コレステロールが発症を増す疾患・・12

  脳卒中と低コレステロール・・その1

 脳卒中には、脳梗塞脳出血があります。

 その内、脳出血は、既に紹介しましたように、低コレステロール血症で、その発症が増すとの事実は、良く知られたことです

 一方、脳梗塞については、コレステロールとのハッキリした関係は無いとの結果が多いようです。

 何度も取り上げましたJーLIT研究では、血中コレステロール値が、180mg/dl以下では、一番死亡が少ないコレステロール値が220~239mg/dlの場合に比して、脳血管死は、3倍ほど増加しているとの結果でした。

 浜崎智仁教授が、その著「コレステロールは高いほうが長生きする」(エール出版、2003年)で次のような興味ある指摘(p.115)をしています。

 「昔、東北地方で脳卒中の発生が多かった原因として、高度の食塩摂取による高血圧と低蛋白/低脂肪食による血管の脆弱があげられた。

 血清コレステロール値も低かったが、食事の改善とともに血清コレステロール値が上昇し、脳出血も減ってきた。」とあります。

 当時、東北地方は、大変、貧しい人達が多くて、満足な食生活が出来なかった。

 それ故に、カロリー成分としての糖質、脂質に加えて、ビタミン類、必須アミノ酸、必須脂肪酸などの必須成分の摂取が十分でなかったことは、推察できます。

 多くの低コレステロール血症の人達が脳出血の犠牲者となったに相違ありません。

 こうした事実は、コレステロールが、動脈血管の構造を保つためには、如何に大切かを示すものだと思います。

 今日では誤ったダイエット、偏食等の異栄養が、前述の低カロリーや必須栄養分の欠乏を誘発して、ワザワザ、脆弱な血管状態を引き起こしているのでは

 私たちが、健全に生きるためには、多様な栄養素が必要で、目線を近くに置いた食生活は危険だとになります。

 次回に、若者に多い脳低動脈解離の危険因子と低コレステロールについてとします。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・テロメア長と冠動脈硬化疾患」を取り上げています)

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Thursday, June 21, 2007

低コレステロールが発症を増す疾患・・11

   脳神経障害と低コレステロール

 コレステロールは、脳や神経、副腎、その他の臓器に多量に含まれています。

 総体重のおよそ0.2%に及ぶのです。

 成人の体内コレステロール量が、100~150グラムになることが判ります。

 その内の四分の一の25~39グラムは脳に集まっているのです。

 つまり、脳神経系はコレステロールを他の組織、臓器より多くを必要としています。

 また、末梢神経系やミエリン鞘などでは、コレステロールや脂質が取り囲んでおり、アタカモ、電線がショートしないようにと神経の枝を取り囲んでいるようなのです

 脳、神経系の構造と機能を保つ上で、極めて、重要な役割を果たしているのです。

 アルツハイマー病のような認知症にとっても、その脳機能を保つために、脳内でのコレステロール不足は警戒しなければなりません。

 高齢者の認知能力が低下し易い原因となると考えられているのです。

 男性の高齢者には、低コレステロールが少なくありませんから、特に、要注意となります。

 私が診ている高齢者男性でも、低コレステロールの人達では意欲を含めた活力ある意識に問題が多いと思います。

 そして、バランスに欠ける不安、こだわり、繰り返しなどで、シツコサが増すなどです。

 また、低コレステロールは、めまい、痺れなどの神経障害を訴える人は少なくありません。

 以上より、脳神経系にとって、低コレステロールは、その構造と機能から見ても、警戒、注意が必要だといえます

最近の産業技術総合研究所の小島正己博士が、J.Neuroscienceに発表したと日本経済新聞に報じられましたように(私の楽天ブログで、トピックスとして6月14日に紹介)、 「コレステロール 脳の発達に必須」なのです。

 今後、脳神経系にあってのコレステロールの果たす役割が明確にされていくことでしょう。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・12・・全身性動脈硬化症・・その2」を取り上げています)

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Wednesday, June 20, 2007

低コレステロールが発症を増す疾患・・10

  そう・うつ病・・3

 低コレステロール(血中低コレステロール値;180mg/dl以下)に伴なって、自殺死や事故死が増加するとの事実が報告されています。

 近年、我が国の三大疾患のガン、心臓病、脳卒中の死亡率は、今や低下傾向にあります。

 しかし、自殺死は増加傾向にあり、取り分け、男性の自殺率は上昇しているのです。

 そう・うつ病を含む「気分(感情)障害」のある人は、90万人と増加をしています。

 こうした背景に、社会的なストレス過多が深く関わっていることがあります。

 また、低コレステロールは、男性に多いことが問題となります。

 低コレステロールが、うつや暴力性、衝動性などの精神の安定性を欠く原因となるとの指摘がなされます。

 加えて、うつのある人達には、低血糖を伴なう人が多いとの指摘があります。

 うつなどの精神障害に伴なって、食欲低下ともなり、その結果として、低血糖となることも考えられます

 脳内では、グルコース代謝が盛んなことは、良く知られたことですが、同時に、コレステロール合成も盛んなのです

 それ故に、人が必要とする全コレステロールの内、四分の一は、脳に集中しています。

 グルコース代謝とコレステロール合成系は、アセチルーCoAを介して連係をしています。

 つまり、低血糖は、コレステロール合成の障害とも密接な関係があるのです。

 脳内で、セロトニン代謝とも関連した精神の不安定が、低コレステロールと関係すると考えられと前回には紹介しました

 加えて、低コレステロールが、脳内の神経細胞及び末梢神経線維の障害ともなると推察できます

 アルツハイマー病などの認知症に、低コレステロールが関与するとの指摘は、脳神経細胞系にコレステロールが極めて深い関係にあるといえます。

 以上より、低コレステロールが、そう・うつ病や人格障害的な精神のアンバランスに深い関係にあると考えていなければなりません。

 食事のアンバランスによる異栄養症や低栄養によるカロリー不足の結果が、低コレステロールや低血糖症となり、精神安定や意欲低下となると念頭において、意識する必要があると思うのです。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは、「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・全身性動脈硬化症の危険因子・・その1」を紹介しています)

 (楽天ブログ、ミクシイでは「素肌美障害・・スクアレン(スクワレン)・・その8」を紹介しています)



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Tuesday, June 19, 2007

低コレステロールが発症を増す疾患・・9

   そう・うつ病・・2

  うつ病に伴なった血中コレステロール値が低下するとの報告は多いのです。

  しかし、うつに伴なって、食欲の低下、減退が起こった結果として、血中のコレステロール値が下がってしまっていることも、少なくないと思います。

 そうした食事摂取量に伴なった減少とは言えないケースも少なくないのです。

 つまり、食事調査、体重減少などの変化を考慮しても、低コレステロールが原因としたうつ病や自殺者が増加するとの研究報告が出されているのです。

 いずれにしましても、自殺者とうつ病とは、関係が深く、そうした人達に、血中総コレステロール値が低い人が多いとの事実があるのです。

 低コレステロール血症によって、攻撃性、暴力性、衝動性、敵意性が増すとも言われるのです。

 そうした原因として、脳内のセロトニンが関係しているとの研究があるのです。

 セロトニン代謝とうつ病は深い関係にあります。

 最近、うつ病やうつ傾向の人にSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み租顔剤)と呼ばれる薬が、良く用いられています。

 セロトニンが神経細胞の活性化に関わっているからです。

 セロトニン作動性神経細胞の機能低下が、うつ病、うつ状態に関わり、前述のような粗暴性や衝動性を増すといわれています。

 加えて、低コレステロールが、脳内のセロトニン産生の低下やそのの作用を働きがたくするのではとも考えられているのです。

 まだまだ、低コレステロールと神経、精神との関係は、研究されなければならない課題がほとんどと言えます。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは、「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・診断基準の課題」を取り上げています)

 (楽天、ミクシイでは、 「素肌美障害・・スクアレン(スクワレン)」を取り上げています)

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Friday, June 15, 2007

低コレステロールが発症を増す疾患・・8

   そう・うつ病・・1


 「コレステロール 脳の発達に必須」と日本経済新聞(6月14日)に報じましたように(私の楽天ブログ・トッピクス!!・・1・・6月14日に取り上げました)、神経細胞が成長するためには、神経栄養因子(BDNF)がコレステロールの合成を促進することが必須なのです。

 それ故に、人の体内で必要とするコレステロール量が100~150ミリグラムに及ぶのですが、その四分の一は、脳が占めているのです。

 そして、コレステロールは、細胞膜成分として、主要成分であるのですが、脳の神経細胞や末梢の神経線維もコレステロールを沢山必要としています。

 必要とするコレステロールは、肝臓で作られて、臓器や組織にLDLーコレステロールとして運ばれているのです。

 処が、脳にあっては、運ばれるコレステロールだけでは不十分となるほどのコレステロールが必要なほどで、脳内で、自らの合成も盛んに行っているのです

 つまり、にとって、コレステロールは、グルコースともども、重要なキー成分だと判ります。

 それ故に、低コレステロールの人では、うつ傾向のみならず、人格障害的な暴力性、衝動性や敵意性を持ったり、自殺・事故死が増えるとの事実が問題となっているのです。



 低コレステロール血症は、既に紹介しましたように、血管障害の脳出血に加えて、精神障害とも深い関係があると考えられているのです。

 一方、この6月15日の閣議で、「2007年度障害白書」が決定されて、報道されました。

 それによりますと、精神障害者の推定が、2005年には、およそ303万人となり、2002年から45万人ほどの増加が認められ、初めて、300万人を越えたのです

 そう・うつ病などの気分・感情障害が、33.3%とモットも多かったそうです。

 また、老化が問題となる高齢化に伴なってのアルツハイマー病を含む認知症などの増加も、問題となっています。

 こうした脳神経系の疾患予防にとって、コレステロールの果たす役割に注目する必要があるのです。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは、「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・催凝固因子・PAI-1など」を取り上げています)

 (楽天ブログ、ミクシイでは、「素肌美障害・・スクアレン(スクワレン)」を取り上げています)

Thursday, June 14, 2007

低コレステロールが発症を増す疾患・・7

    脳出血・・2


 前回からの続きです。


 今回は、脳血管死亡、脳卒中死とありますから、以下に示します、何れの調査も、脳出血と脳梗塞、或いは両疾患の合併による死亡を意味しています。

 ・ 福井市の男性; 健診受信者37,379人を5年間追跡した結果です。

   血中総コレステロール値(TCH、mg/dl)が、221~250のグループに比して、TCHが220以下になると脳血管疾患による死亡率は、低下を始めました。


   TCHが、121~220の範囲では、脳血管疾患による死亡率は、ほぼ同様の死亡率でしたが、TCHが221~250のグループに比して、およそ4倍ぐらいの増加となっていました。

  TCHが、120以下となれば、5倍以上の死亡率の増加を示しています。

 ・ 茨城県の調査; 調査対象者は、40~79歳の10万人に及ぶ、5年間の追跡調査。

   脳卒中死亡は、TCHが200~219の範囲に比して、TCH199以下で、増加が始まりました。


   TCHが、160以下になりますと二倍ほどの脳梗塞死亡が増したのです

 前回の結果も含めて、脳出血を含めた脳卒中は、TCH低下と共に増加するとの結果だと判ります。

 心筋梗塞死も、低コレステロールによって、増加するとの結果を考慮しますと、動脈血管の安定化に占めるコレステロールの重要さを示すとの事実だと思います。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・急性期反応蛋白・CRP」を取り上げています)


 (楽天、ミクシイでは「素肌美障害・・スクアレン(スクワレン)」を取り上げています)

Wednesday, June 13, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・6

     脳出血・・1


  既に紹介していますように、アメリカの36万人に及ぶ人達を対象としたMRFIT疫学研究で、血中総コレステロール値が、192mg/dl以下になると、総死亡やガン死が増すことが判っています。

 加えて、脳出血死が、感染症死と共に増すことが明らかとなっています

 我が国でも、同様の傾向が報告されていますので、紹介したいと思います。

 ・ J-LIT研究 ; 既に紹介していますように、スタチン系コレステロール低下薬投与による、心筋梗塞死の減少を期待した臨床試験です。

  心筋梗塞死は、血中総コレステロール値(TCH、mg/dl)が、200~219最低でしたが、総死亡は、220~239だったのです。

  つまり、我が国で、TCHが正常値が220までと想定されているより高い220~239領域で、死ぬ危険性は減少しています。

   しかも、今回話題としています、脳血管死の最低領域のTCHは、220~239でした。

 TCHが、200以下に低下していきますと次第に、その死亡率は上昇に転ずるのです。

 取り分け、TCHが、180以下となりますと、その死亡の危険は、二倍以上も増しました

 には、全身のコレステロール量の内、四分の一を占めています。

 つまり、脳神経系は、コレステロールを多く必要とすると同時に、血管を丈夫で、安定に保つために重要な役割を果たしていることを示しています。

  今や、脳外科医の世界では、「低コレステロールは脳出血を増す」は、常識となっているのです。

  低コレステロールに伴なった、脳出血死の増加は、他の疫学調査でも明らかになっていますので、次回に紹介します。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・7」を取り上げています)

 (楽天ブログ、ミクシイでは「トッピクス!!・・1・・【コレステロール 脳の発達に必須】と日経新聞が論文紹介」を取り上げています)

Tuesday, June 12, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・5

  ガン・・4・・日本人と低コレステロールによるガン死増加


 前回の続きとして、日本人の疫学調査による、血中総コレステロール値とガン死の増加についてとします。

  ・ 大阪府八尾市の住民およそ1万人の11年間の追跡調査です。

   調査開始から始めの2年間の死亡者は除いてあります。

  総死亡は、血中総コレステロール値(TCH,mg/dl)240~279で最低でした。

  ガン死は、TCH280以上で最低でした。

  ガン死は、TCH240~279を1とした倍率で検討しますと以下の如くでした。

  男性では、TCH160~199で2倍となり、160以下に低下しますと2.7倍と増加しました。

  女性では、ほとんど変化なしとの結果でした。

  つまり、低コレステロールによるガン死の増加は、男性に顕著と言うことです。

  前回のNIPPON DATA80での結果と同様の傾向を示しています。

  男女合計としてみますと、ガン死は、TCHが160以下となりますと1.8倍ほどの増加と言うことです。

 ・ 茨城県の大規模調査です。

   40~79歳までの脳卒中に罹ったことのある人は除いた、男性32,705人、女性63,959人の合計96,664人を対象とした5年2ヶ月間の追跡調査です。

  ガン死は、TCH240以上で、最低となり、TCH220~239を1としますと、TCH160~179で1.5倍に増加したのです。
  TCH160以下となりますと、更に増加して、2.3倍ほどの増加となりました。

 今回のシリーズで取り上げてきました国内外のガン死と血中総コレステロール値との関係をまとめますと以下の如くとなります。

   ガン死は、TCHが低めの200以下で増加傾向となり、180以下となれば有意差を持って、増加するとなります。

  逆に、ガン死は、TCHが増せば、低下するとの結果だと判ります。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・6」を取り上げています)

 (楽天ブログ、ミクシイでは「ダイエットなどによる低コレステロールとなれば、何故に、美肌障害となるか・・スクアレン(スクワラン)・その4」を取り上げています)

Monday, June 11, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・4

  ガン・・3・・日本人と低コレステロールによるガン死増加

 今回は、我が国内での疫学的な検討です。

 スタチン系薬剤投与による血中コレステロール値低下による影響を検討したものではありません。

 地域の人達の健診受信者などでフォローした疫学調査によるものです。

 ・ 福井市男性(37、379人)の5年間追跡でのガン死危険; 血中総コレステロール値(TCH,mg/dl)が、221~250に対して、130~220では、4倍以上の増加

 ・ NIPPON DATA80(NIPPON研究)では、全ての死因を含めた場合に死亡危険度が最低だったのは、TCHが、240~259でした(5年間の追跡死亡率)。

  ガン死はTCH240以上に対して、男性では、TCH200~230で3.5倍の増加

  TCH160以下では4.2倍ほどの増加でした。

  女性では、TCH200~239で、0.6倍の低下160以下では2倍以上の増加を見ました。

 男女合計のガン死では、TCH240以上に対して、200~239で、1.5倍、160~199で、2.5倍、160以下で、3倍との結果でした。

 以上、福井市、NIPPONN DATA80のいずれにあっても、TCHが高値となるほど、ガン死の減少となり、低値になるほど、ガン死の上昇を見るとの共通があります。

 既に取り上げましたように、低コレステロール値となれば、アメリカでの調査結果、J-LITでの結果と同様の傾向を持つと判ります。

 次回に続くとします。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・5」を取り上げています)

 (楽天ブログ・ミクシィでは「ダイエットなどによる低コレステロールとなれば、何故に、美肌障害となるか・・スクアレン(スクワレン)・その3」を取り上げています)

Saturday, June 09, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・3

   ガン・・2・・日本人と低コレステロールによるガン死増加

 低コレステロールによる日本人のガン死増加の事実を示す報告は沢山あります。

 浜崎智仁著「コレステロールは高い方が長生きする」(エール出版)、大櫛陽一著「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」(太田出版)、浜六郎著「コレステロールに薬はいらない」(角川書店)等の本にあって、一般の人々にも判りやすく解説されています。

 既に、何度も紹介していますが、J-LIT(Japan Lipid Intervention Trial)と呼ぶ、大規模臨床研究に、まず、注目です

 このJ-LIT研究は、スタチン系の血中コレステロール低下薬を、全国の約5万人の高コレステロール(≧220mg/dl)患者を対象にして投与、5年以上の追跡がなされた疫学研究・コホート試験です。

 この試験で注目されるのは、スタチン系薬剤投与によって、コレステロール低下の有用性を期待した研究だからです。

 つまり、出来るだけ、意識的、無意識的にしても、スタチン系薬剤の有効性を期待しているからです。

 しかし、予想に反して、死亡率が、最も低かったのは、血中コレステロール値が220~240mg/dlだったのです。

 しかも、ガン死は、血中コレステロール値が低下するほど増加したのです。

 逆に、血中コレステロール値が上昇するほど、ガン死は減る結果だったのです。

 血中コレステロール値が280mg/dl以上に対して180mg/dl以下に低下させると、ガン死増加は4倍以上となりました。

 ガン死のみならず、脳出血、感染症、事故・自殺死、突然死などによる総死亡は、コレステロール値が200mg/dl以下で増加傾向となり、180mg/dl以下になると最低域の220~240mg/dlに比して、三倍近くの増加となってしまったのです。

 前回取り上げましたように、アメリカでの結果と同様に、コレステロール低下によって、ガン死のみならず、総死亡も増すとの事実と一致することになります。

 アメリカでの疫学研究とJ-LIT研究との違いは、JーLITでは、スタチン系薬剤投与によって、わざわざ、コレステロール値を低下させた場合の結果だと言うことです。

 次回には、我が国で血中コレステロール値と ガン死との関係を追跡した疫学・コホート研究を検討します。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子」を取り上げています)

 (楽天ブログ、ミクシィでは「ダイエットなどによる低コレステロールとなれば、何故に、素肌美障害となるか・・スクアレン(スクワレン)・その2」を取り上げていま

Friday, June 08, 2007

低コレステロールが発病の危険を増す疾患・・2

   ガン・・1・・血中総コレステロール値が、180mg/dlでは、ガン死が増す

 低コレステロールに伴なって、その発病の危険を増すのは、ガンなのです。

 血中総コレステロール値(TCH)が、200mg/dl 以下になるとガン死は増加を始めます。

 取り分け、TCHが180mg/dl如何になると有意差を持ってガン死の増加を見るとの報告は沢山あります。

 逆に、ガン死者は、TCHが高くなるほど減少するとの結果になっています。

 そうした事実は、コレステロールは、人の生命の基本単位となっている細胞膜の構成成分として25%を占めて、細胞膜の安定化に不可欠であり、細胞核の遺伝子発現にとって重要な役割を持っているのです。

 また、人の体内にあって、コレステロール合成系は、同時に、ドリコールやコエンザイムQ10の合成には不可欠であるのです。

 ドリコールは、細胞膜の表面を構成する糖タンパク質の合成にキーとなる役割を果たしています。

 つまり、それぞれの細胞の役割を決める重要な糖タンパク質の合成にかかわっているのです。

 細胞特性の代表として、免疫細胞や血液型なども、糖タンパク質が決めているのです。

 以上より、コレステロールとその代謝系が、如何に、生命規序を保つために重要かと判ります。

 そこで、まず、アメリカでのガン死とコレステロールについての報告から紹介します。

 アメリカ国立心血管研究所(NHLBI)の研究では、低コレステロールによって、肺ガン、呼吸器疾患、消化器疾患、外傷その他による死亡が増すとあります。

 また、アメリカのおよそ36万人を対象とした有名な疫学研究・MRFIT研究で、TCH192mg/dl以下で、ガン死や総死亡率が高くなることが報告され、脳出血と共に増加すると判っています。

 低コレステロールの男性では、ガンや脳出血、肺ガンや肺感染症などの肺疾患が増加するとの調査結果となっています

 また、低コレステロールの高齢女性では、肺ガンが多くなると報告されています。

 同様の傾向を示す報告は、ドイツでもなされているのです。

 ハワイの日系米国人を対象とした調査でも、TCHが180mg/dl以下のグループでは、270mg/dl以上のグループと比較した場合ガン死は、およそ2.3倍ほど増加したのです。

 次回は、日本人を対象とした報告を紹介します。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子」を取り上げています)

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Wednesday, June 06, 2007

低コレステロールが発病の危険を増す疾患・・1

   はじめに

 血中の総コレステロール値が、200mg/dl以下になると、それに伴なって、総死亡の危険が増す、つまり、死亡率は上がるとのお話は、既に、何度も、私の関連するページで取り上げてきました。

 取り分け、コレステロール値が、180mg/dl以下となれば、その死亡の増加の危険は、増してしまうのです。

 増加する死亡の原因となる疾患の代表が、ガン、脳出血、感染症、事故・自殺死なのです。

 また、心筋梗塞を始めとする心血管イベントによる死亡も増加してしまいます。

 その理由は、コレステロールは、人の命の基礎単位と言えます細胞の細胞膜を構成する必要にして、不可欠な成分となっているからです。

 その細胞膜の脂質成分の25%を占めています。

 その25%のコレステロールは、細胞膜の安定化と必要に応じた流動性を保つためには不可欠なのです

 また、コレステロールは、脳や神経組織、副腎、その他の臓器に多量に必要で、総体重のおよそ0.2%(100~150グラムとなる)におよびます。

 成人の体内に占める100~150グラムのコレステロールの内、その四分の一は脳に集中しているのです。

 それ故に、コレステロールは、脳神経系と深い関係にあり、神経障害、精神的安定性のみならず、認知障害にも大きな影響を与えます。

 つまり、コレステロールは、脳神経系の疾患予防にキモともいえるのです。

 そこで、低コレステロール血症に伴なって増すことになる疾患について知っておきましょう。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは、 「動脈硬化性疾患予防の新たなる危険因子」を取り上げています)

 (楽天ブログ、ミクシィでは、 「ダイエットなどによる低コレステロールとなれば、何故に、素肌美障害となるか」を取り上げています)

Monday, June 04, 2007

低コレステロール値を補うニードに答える・・14

日本人のLDL-コレステロール値と死亡率・・3
日本人の糖尿病患者とLDL-コレステロール値


 大櫛陽一著「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」(太田出版)に、「大櫛陽一、糖尿病ではコレステロールをどこまで下げる必要があるか、性差と医療、3,223-230,2006」よりの紹介を行っています。

 それによりますと以下の如くです。

 男性では、血中のLDL-コレステロール値が、130~159mg/dlで、モットも、死亡率が低かったのです
 それに対応する総コレステロール値は、ダイタイにして200~235mg/dlに相当します。

 LDL-コレステロール値が、160mg/dl以上となりますと死亡率は上昇となります。

 取り分け、≧190mg/dlとなりますと急激な死亡率増加となりました。

 一方、LDL-コレステロール値が130mg/dl以下となっても、死亡率の増加を示しています。

 LDL-コレステロール値が100mg/dl以下では、死亡率の増加は強くなっています。

 女性については、LDL-コレステロール値と死亡率の関係は、ハッキリしませんでした

 LDL-コレステロール値が、≧190mg/dlで死亡率は最低を示し、次が、100~129mg/dl、160~189mg/dl順番となっています。

 一番死亡率が高かったのが、130~159mg/dlとなり、<100mg/dlと、ほとんど、その死亡率に差はありませんでした。

 以上の結果は、女性にあっては、LDL-コレステロール値と死亡率には、特別の関係なしとなります。

 以上の事実を踏まえて、大櫛グループによる「コレステロール治療ガイドライン」には、糖尿病患者にあってのLDL-コレステロール値は、以下の如くとなっています。

  非喫煙者 ;  男性では、100~180mg/dl,  女性では、100~190mg/dl

  喫煙者  ;  男性では、100~160mg/dl,  女性では、100~190mg/dl

 日本動脈硬化学会による「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」では、男女差による相違は示していません。

 糖尿病に関する基準ではなくリスク数による基準となっています。

 そのリスクの程度から糖尿病についての想定です。

 中程度のリスク患者では、<140、高リスク患者では、<120とあります。

 冠動脈疾患の既往症がある人では、<100mg/dlとなっています。

 LDL-コレステロール値の基準については、従来の「動脈硬化性疾患診療ガイドライン2002年版」と同じです。

 しかし、こうした基準によるスタチン系のコレステロール低下薬で「積極的脂質低下治療を行った代表的な臨床試験」として、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」のpp.42~43に紹介している成績結果では、肝心の「心血管死亡」には、「NS」(Not Significant)とあります。

 つまり、「心血管死」を減らすと言えるような治療効果は認められなかったと言うことです。

 我が国のスタチン系薬剤費は、3000億円に及ぶと言われています。

 こうしたお金を投与しても、「心血管死亡」を減らしていないと言うことは、その診療基準に問題があると示唆しています。

 もう少し、LDL-コレステロール値に対する診療基準をキチンと検討する必要があると思います。

 その意味で、大櫛グループのLDL-コレステロール値に対する基準に注目することが必要だと思いませんか。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の予防と治療ガイドライン」を取り上げています)

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