Monday, June 25, 2007

低コレステロールが発症を増す疾患・・13

  脳卒中と低コレステロール・・その2

 今回は、若者成人の脳卒中発作の原因となりやすい脳低動脈解離症についてとします。

 我が国の国立循環器センターでの検討です。

 低コレステロール血症及び高血圧が危険因子だったのです。

危険因子として、調査、検討の対象となったのは、低コレステロール血症、高コレステロール血症、血中蛋白量、高血圧、糖尿病、貧血に加えて、喫煙とあるコロール摂取量などでした。

 その結果は、以下の如くでした。

 ・単変量解析結果では、低コレステロール、糖尿病、高血圧が、それぞれ、有意差ある関連性を示しました。

 ・多変量解析結果では、低コレステロールと高血圧でした。

 以上より、低コレステロールが、脳低動脈解離の独立した予測危険因子だと判りました。

 低コレステロール血症+高血圧のある人は、要注意となります。



 低コレステロールの人は、20~29歳の人達では多いのです。

 血中総コレステロール値が、180mg/dl以下の人は、40~49歳の男性では、18.3%、女性では、25.3%に対しまして、20~29歳の男性では、58.5%、女性では、57.3%に上ります。

 50~59歳では、男性では、21.0%、女性では、9.2%です。

 そして、近年での血中総コレステロール値の平均値の年次推移では、男女共に、20~29歳の人達では、減少傾向にあるように思います。
    
 ダイエット、栄養バランスの悪い食事などの影響となっているのでしょうか。

 若年層の人達の血中コレステロール値を、如何なるレベルに保つのが良いかを検討する必要があると思います。
       
 
 いずれにしましても、誤解のないように注意、記憶すべきは、脳低動脈解離症の発症の危険予測が、高コレステロールではなく、低コレステロールだということです。

 既に、何度も述べてきましたように、コレステロールは、細胞膜の安定性には無くてはならない成分なのです。

 加えて、人の脳では、全身の総コレステロール量の内で、その四分の一を含むほどの多くを占める程、必要としています。

 脳では、グルコースを多く必要としていることは、良く知られたことですが、コレステロールも、同様です

 それ故に、脳では、独自に、コレステロールを合成しているのです。

 そして、つい最近、脳の発達には、コレステロールが必須と報じられたばかりですが、コレステロールの重要性の一端を示すものだと思います。

 以上、脳出血のみならず、脳低動脈解離症など、血管の安定を損なう危険性を持つ低コレステロールは、危険因子だと言うことです

 (Dr.BERAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・テロメア長と冠動脈硬化症・・その2」を取り上げています)

 (楽天ブログ、ミクシイでは「素肌美障害とコレステロール代謝・・ビタミンD3・その2」を取り上げています)

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