Tuesday, July 31, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・36

 高齢者と血中コレステロール値、LDL-コレステロール値、HDL-コレステロール値、及び、BMIのまとめ・・・その10

 ・・・HDL-コレステロール値の基準値・・3・・我が国・高齢女性の年齢別HDL-コレステロール値の危険域分布%

 今回は、女性のHDL-コレステロール値が、年齢階層別に、危険域にある分布%を示します。

 既に、取り上げましたように、平均年齢が62.6歳の女性にあって、大櫛グループによるHDL-コレステロール値と死亡率との関係では、その値が、60~79mg/dlの範囲で、死亡率は最低となり、それ以上の上昇となっても、死亡率の増加とはなりません

 その事実は、男性とは逆の関係となっているのです。

 しかし、HDL-コレステロール値が、59mg/dl以下になりますと、有意差を持った死亡率の増加となります。

 そこで、65歳以上の女性で、HDL-コレステロール値が、59mg/dl以下となる危険域での年齢階層別分布%を示します

 資料は、「厚労省 平成16年国民健康・栄養調査報告書」によるものです。

 ・ HDL-コレステロール値が59mg/dl以下を示す、女性・年齢別分布%

   年齢    65~69   70~74   75~79   80~84   85歳以上

  分布%    51.0     52.9    58.0     43.9    54.5                  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

  以上より、女性の場合、HDL-コレステロール値が、59mg/dl以下の危険域に属する年齢階層別の分布%は、かなり高いとわかります

 男性のHDL-コレステロール値の死亡率が最低となる領域は、40~59mg/dlと、女性より低めにあります。

 前回、取り上げましたように、男性では、HDL-コレステロール値が、90mg/dl以上か、39mg/dl以下で、死亡率の上がる危険域となります。

 その上下の両危険域にある分布%を含めても、女性の低下による危険域の分布%にはなりません。

 つまり、女性では、HDL-コレステロール値は、高値には心配することなく、男性より高めに維持する必要があり、低めに留意する必要があるのです

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Monday, July 30, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・35

 高齢者と血中コレステロール値、LDL-コレステロール値、HDL-コレステロール値、及び、BMIのまとめ・・・その9

 ・・・HDL-コレステロール値の基準値・・2・・我が国・高齢男性の年齢別HDL-コレステロール値の危険域分布%

 前回、高齢男性にあっては、HDL-コレステロール値(HDL-C,mg/dl)が40~59で、死亡率は最低となり、90mg/dl以上では、死亡率が有意に上昇する、つまり、死亡率は増すとのお話をしました

 そして、逆に、HDL-Cが、39以下に低下しても、死亡率が上昇するのです

 そこで、今回は、我が国の65歳以上の男性の年齢階層別のHDL-Cが、90以上と39以下の人の分布%を示したいと思います(「厚労省 平成16年国民健康・栄養調査報告書」より)。

 HDL-C、“善玉”コレステロールだから、高い方が良いとは言っておられない人達と、低すぎて、問題のある人達の年齢階層別の分布%を示すものです。

・ HDL-Cが、90以上を示す、男性・年齢別分布%

  年齢  65~69  70~74  75~79  80~84  85歳以上

 分布%   3.5    6.1     2.3    5.1     0                     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・ HDL-Cが、39以下を示す、男性・年齢別分布%

  年齢  65~69  70~74  75~80  80~84  85歳以上             

 分布%  17.5    20.5   22.0   15.3    13.6                   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  以上、65歳以上の男性の年齢階層別のHDL-Cで死亡率が増す、90以上の高値と39以下の低値を示す分布%を示すものです

 次回は、女性にあっての死亡率が増すHDL-Cが59以下の年齢階層別の分布%を示します。

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Friday, July 27, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・34

 高齢化と血中コレステロール値、LDL-コレステロール値、HDL-コレステロール値、及び、BMIのまとめ・・その8

 ・・・HDL-コレステロール値の基準値・・1

 HDLは、High Density Lipoproteinの省略語で、LDLに比して、脂質成分の占める割合が低下してたために、比重が増加したリポプロテインなのです。

 血管などの組織、臓器から、必要のなくなったコレステロールなどを回収して、肝臓に運ぶ役割を担っています

 動脈硬化との関連では、動脈の内側にアテロームと呼ぶコレステロールが蓄積して形成され無いように、余分のコレステロールを回収する役割を担います。

 その点に注目して、一般に、HDL-コレステロールを、善玉コレステロールと呼ばれています。

 如何にも、単一思考的な、日本的命名だと思います。

 それに対して、必要な臓器や組織にコレステロールの運び役を担う、LDL-コレステロールを悪玉コレステロールと呼んでいます。

 しかしながら、いずれにあっても、生体内での、コレステロールの運び屋として、その役割は、善玉、悪玉と、単純に、良いもの、悪いものとの理解は正しくありません

 それ故に、HDLーコレステロールは、多いのが良く、LDLーコレステロールは、少ない方が良いと言って、心筋梗塞や脳梗塞による死亡率は、寿命の長短などの予後を予測するのも、簡単ではないのです

 LDL-コレステロール値のみならず、HDL-コレステロール値の基準値を定めるのも、容易ではないのです

 既に、大櫛陽一本(太田出版)に取り上げられています、HDL-コレステロール値と五年死亡率について紹介しました。

 男性(平均年齢が65.5歳)にあっては、HDL-コレステロール値が40~59mg/dlで、死亡率は最低を示し、90mg/dl以上の高値では、死亡率が有意に増加してしまいます。

 逆に、39mg/dl以下となっても、死亡率は上昇します。

 一方、女性(均年齢62.6歳)では、死亡率が最低を示すのは、HDL-コレステロール値が60~79mg/dlです。

 更に、男性とは異なり、女性の場合、80~99mg/dlのレベルに、上昇となっても、死亡率の増加はありません

 また、女性でのHDL-コレステロール値の低下は、男性同様に、死亡率は増すのです

 女性の場合、HDL-コレステロール値が、59mg/dl以下に低下すると、有意の差を示すような死亡率の増加となるのです。

 取り分け、39mg/dl以下では、2倍以上、3倍に及ぶ死亡率の増加となるのです。

 まとめますと男性では、HDL-コレステロールは、低くても、高くても、死亡率が増加するのは、臓器や組織にあって、運び屋として回収すべきコレステロールが、適正に分布していることの大切さを示しているとなります。

 女性にあっては、更年期以後のコレステロール値、LDL-コレステロール値のいずれが上昇しても、死亡率の上昇食みとめられていません

 HDL-コレステロール値が上昇しても、同様に、死亡率の上昇とならない事実は、女性には、女性ホルモンのバランスも含めた、適正なコレステロール分布とする機序が働いていると予想させます。

 いづれにしても、善玉、悪玉と言った、一元的な理解は、危険だと言うことです。

 安易な情報に惑わされるのは、止しましょう。

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Thursday, July 26, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・33

 高齢者と血中コレステロール値、LDL-コレステロール値、HDL-コレステロール値、及び、BMIのまとめ・・その8

  ・・・虚血性心疾患既往と家族性高コレステロール血症のある人のコレステロール値、及び、LDL-コレステロール値の基準範囲

 今回も、大櫛グループの提言する「コレステロール治療ガイドライン 2006年」の続きです。

 虚血性心疾患既往のある人とは、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版」基準で言えば、冠動脈疾患の既往がある人となります。

 つまり、LDL-コレステロール値は、100mg/dl以下に脂質管理目標を下げる必要ありとなります。

 想定されている、コレステロール値は、180mg/dl以下となるのです。

 また、家族性高コレステロール血症では、正式ではありませんが、LDL-コレステロール値は、100mg/dl未満を管理目標値として、提言しています。

 しかし、大櫛グループの提言する基準値は、以下の如くです

 ・ 虚血性心疾患既往のある人、及び、家族性高コレステロール血症のある人では、出来るだけ、血中総コレステロール値、及び、LDL-コレステロール値を下げることが望ましい

 ・ 但し、コレステロール値は、180mg/dl以下にしてはなりません

 ・ LDL-コレステロール値は、100mg/dl以下にしてはなりません

 以上より、大櫛グループ基準では、一次予防、二次予防であれ、コレステロールは、180mg/dl以下、LDL-コレステロール値は、100mg/dl以下にしてはならないと言うことです。

 『動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版』では、コレステロール値、及び、LDL-コレステロール値の管理目標値としては、それぞれ、180以下、100以下としている値は、大櫛グループが、それ以下にしてはならない値となっていると判ります。

 大櫛グループの『コレステロール治療ガイドライン 2006年』は、死亡率の減少を判定基準としているのにたいして、『動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版』は、心血管イベントを判定基準に据えて、死亡率の減少には、目を向けていません

 アメリカや欧米では、異なる意見を持つ人達の間で、データを持ち寄り、コンセンサス ミーティングをひらいて、統一した基準とするように努力します。

 迷惑するのは、患者や一般の人達なんだからと、もう少し、閉鎖的でオタク的仲間内社会から離脱した検討を願いたいものです

 医療保険制度は、今や、患者のためにと言いながら、ご都合的な必要のない無駄使いをしている余裕は無いと思うのです。

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Wednesday, July 25, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・32

 高齢化と血中コレステロール値、LDL-コレステロール値、HDL-コレステロール値、及び、BMIのまとめ・・その7

 ・・・糖尿病患者と適正コレステロール値、及び、LDL-コレステロール値

  今回も、大櫛グループの提言する「コレステロール治療ガイドライン 2006年」からの紹介です。

 糖尿病患者での血中総コレステロール値、及び、LDL-コレステロール値の管理基準値の提言です。

  ・ 提言の適正基準は、40歳以上の被験者数に占める死亡者数調査に基づいたものとあります。

  現在のところ、日本人の40歳未満の糖尿病患者に対する調査結果は無いとのことです

 ・ 女性では、HDL-コレステロール値が、45mg/dl未満や高血圧が認められるときは、メタボリックシンドローム(メタボリック症候群、代謝症候群)の可能性があるとのことから、運動、食事によるHDLーコレステロール値と血圧改善を優先するようにとあります

 ・ 喫煙者は、まず、禁煙努力を!!

 ・ コレステロール低下薬の服用は、生活習慣の改善を1年間実施後に適正範囲に多志無い場合に検討とあります


 ・ 血中総コレステロール値; 男女別、喫煙の有無別・・・

               総コレステロール値(mg/dl)

                男性           女性

   非喫煙者     180~260       180~280

   喫煙者      180~235       180~280 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ・ LDL-コレステロール値; 男女別、喫煙の有無別

               LDL-コレステロール値(mg/dl)

                 男性         女性

    非喫煙者     100~180     100~190     

    喫煙者       100~160     100~190

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


 ・ 男女共に、既に、取り上げましたように、低リスク群での基準と同様に、糖尿病患者にあっても、コレステロール値は、180mg/dl以下にしないこと、及び、LDL-コレステロール値は、100mg/dl以下にしないことの基準はあると判ります。

  つまり、糖尿病患者にあっても、低コレステロールや低LDL-コレステロールは、死亡率を高めるとの判定が成されているのです。

 「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版」では、そのリスク基準から判断して、少なくとも、LDL-コレステロール値が、140mg/dl以下と定められている基準値とは、大きな開きがあると判ります。  

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Tuesday, July 24, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・31

 高齢化と血中コレステロール値、LDL-コレステロール値、HDL-コレステロール値、及び、BMIのまとめ・・その6

 
 ・・・LDL-コレステロールと性別、年齢別基準値


  前回に続いて、大櫛グループの奥山治美、田中裕幸、山門實らによる「コレステロール治療ガイドライン 2006年」からの紹介です。

 今回は、血中LDL-コレステロール値の性別、年齢別の基準値の提言です。

 ・ LDL-コレステロールの低値; 「男女とも、コレステロール値は、180mg/dl以下にしないこと」と提言されていましたように、次のような提示となっています。

   低値は、その下限値を、男女別、年齢別とは無関係に、「男女とも、100mg/dl以下にしないこと」と示されています

 ・ LDL-コレステロールの高値; 男女別、年齢別に、以下の如くに示されています。



                  LDL-コレステロール値(mg/dl)


年齢             男性         女性

   20~24          >140        >140

   25~29          >150        >149

   30~34          >160        >157

   35~39          >170        >166

   40~44          >180        >174

   45~49          >180        >183

   50歳以上         >180        >190
 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


  日本動脈硬化学会による「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版」の定めるLDL-コレステロール値は、「脂質異常症」の診断基準として、高LDLコレステロール血症と診断されるLDLーコレステロール値は、≧140mg/dlとなっています。

 加えて、男女別、年齢別は、考慮されて、示されてはいません。

 Dr.BEAUT・ソフィーリッチで「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版」(協和企画)に取り上げられている臨床試験成績を紹介していますが、スタチン系のコレステロール低下薬投与によって、心血管死亡の低下に有効性が認められないことから、大櫛グループの診断基準の提言を、十分、考慮することが必要だと思います。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは 「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・スタチン系コレステロール低下薬治療と心血管死亡」です)

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Monday, July 23, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・30

 高齢化と血中コレステロール値、LDL-コレステロール値、HDL-コレステロール値、及び、BMIのまとめ・・その5

 ・・・総コレステロールと性別、年齢別基準値

  大櫛陽一グループの奥山治美、田中裕幸、山門實らによる「コレステロール治療ガイドライン 2006年」(「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」)が示されていますので、紹介したいと思います。

 ・ 低値については、年齢とは無関係に、「男女共に、180mg/dl以下にしないこと」と示されています。

 ・ 高値については、男女別、年齢別に、以下の如くに示されています。

                   総コレステロール値(mg/dl)

        年齢          男性      女性

      20~24        >220      >220

      25~29        >230      >230

      30~34        >240      >240

      35~39        >250      >250

      40~44        >260      >260

      45~49        >260      >270

      50歳以上       >270      >280                                              ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

  日本動脈硬化学会の定める「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版」(協和企画)での血中コレステロール値は、病名が「脂質異常症」と改められ、表面からは、「血中総コレステロール値」は削除されましたが、実体としての値は、220mg/dl に据え置かれています(p.13)。

 コレステロール値が、220mg/dlに相当するLDL-コレステロール値として、140mg/dlと基準値が決められているのです(p.13)。

 次回は、大櫛グループのLDL-コレステロール値を示します。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・スタチン系コレステロール低下薬治療と心血管死亡」です)

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Friday, July 20, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・29

  高齢化と血中コレステロール、LDL-コレステロール、HDL-コレステロール、及び、BMIのまとめ・・その4

 ・・・LDL-コレステロール;・・その3

 前回のアメリカの国立コレステロール教育プログラム NCEP ATP IIIの基準を紹介しました。

 比較のために、我が国の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン 2007年版」に示されている「リスク別脂質管理目標」を紹介します。

 我がDr.BEAUT・ソフィーリッチの「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・28~31」で取り上げていますように、「日本動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」に紹介されている我が国の「積極的脂質低下療法を行った代表的な臨床試験」成績では、スタチン系脂質低下薬(スタチン系コレステロール低下薬)治療による心血管死亡率低下を示せた臨床試験はありません

 処が、紹介されている外国での臨床試験では、スタチン系コレステロール低下薬治療によって、心血管死亡率の低下が認められているのですから、我が国のスタチン系薬剤投与基準やその治療法に問題があることを示唆しています。

 そこで、今回改定されたとは言え、基本的には、5年前の「動脈硬化性疾患診療ガイドライン 2002年版」での「患者カテゴリー別管理目標値」とは変わっていない「2007年版」の「リスク別脂質管理目標値」を紹介しておきます。

              「リスク別脂質管理目標値」

 ・ 脂質管理と同時に他の危険因子(喫煙、高血圧、糖尿病の治療など)を是正する。

 ・ LDL-コレステロール値(LDL-C)以外の主要冠危険因子; 加齢・・男性≧45歳、女性≧55歳、 高血圧、糖尿病(耐糖能以上を含む)、 喫煙、 冠動脈疾患の家族歴、 低HDL-コレステロール; <40mg/dl

 ・ 糖尿病、脳梗塞、閉塞性動脈硬化症の合併は、カテゴリーIIIとする。

 ・ 家族性高コレステロール血症は別途の管理、治療基準とする

   
  カテゴリー・・一次予防
 
  ・・治療方針; 一次予防・・まず生活習慣の改善を行った後、薬物治療の適応を考慮する
                     
                    脂質管理目標値(mg/dl)
  LDLーC以外の主要冠危険因子   LDL-C   HDL-C   TG
               の数
I;低リスク        0        <160    ≧40   <150

II;中リスク       1~2      <140    ≧40   <150

III;高リスク       3以上     <120    ≧40   <150    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 

  カテゴリー・・二次予防

  ・・治療方針; 二次予防・・生活習慣の改善と共に薬物治療を考慮する。 即ち、スタチン系薬剤投与の対象となるべき患者と言うことです

                        脂質管理目標値(mg/dl)

                     LDL-C   HDL-C   TG

   冠動脈疾患の既往あり   <100   ≧40   <150    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
                         TG;トリグリセライド(中脂肪)

  以上より、前回取り上げましたアメリカのNCEP ATP IIIのリスク管理基準より、我が国の基準が厳しいと判ります

 我が国の冠動脈疾患病死は、アメリカの三分の一ほどで、少ないのです。

 また、前出のDr.BEAUT・ソフィーリッチで紹介していますように、我が国での冠動脈疾患の既往のある患者のみならず、カテゴリーリスクが、II~IIIにある患者を対象としたようなスタチン系薬剤治療の成績も、心血管死亡率の低下に結びついていないのです

 欧米の成績では、心血管死亡率低下の成績が示されていることから、我が国のリスク基準の見直しが必要であることを示す結果となっています

 今回の『2007年版』改訂では、カテゴリー I~IIの群では、スグには、スタチン系薬剤を中心とした脂質低下薬の使用を開始することに警告が出されています

 つまり、LDL-C,コレステロール、TGが高値なら薬剤投与を開始するような医師には、要注意と言うことです

 いずれにしましても、医療費の無駄使いによる、健康保険制度の崩壊を防ぐためにも、医師を始めとする医療者、患者となる国民一人ひとりの責任ある医療に対する姿勢が求められているのです

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・LDL-コレステロールとスタチン系コレステロール低下薬の治療成績」 です)

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 (はてな日記では『オタピー茶の湯; 日常茶飯の「こころ」・・9』 です)

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Wednesday, July 18, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・28

 高齢化と血中コレステロール、LDL-コレステロール、HDL-コレステロール、及び、BMIのまとめ・・その3


  ・・・LDL-コレステロール;・・その2

   ・心血管病との関係:

     動脈硬化性疾患の心筋梗塞を代表とする心血管病とLDL-コレステロール値高値との関係は、最も、重要視されています。

 大櫛陽一著「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」(太田出版)のp.120に、日本人の糖尿病患者での冠動脈疾患の発症リスク率が、示されています。

  アメリカのNCEP ATP IIIと言う国立のコレステロール教育プログラムに基づいた、冠動脈疾患のリスクからの検討です。

  日本人の心筋梗塞などの虚血性心疾患の発症率は、アメリカの三分の一であることから、我が国の患者に当てはめた場合の算出です。

  ・我が国の糖尿病患者の10年後の冠動脈疾患発症率予測;

             10%未満    10%以上~20%未満     

      男性・    92.5%         7.5%

      女性・    98.6%         1.4%


  ・NCEP ATPIII 2004年版に基づきリスク算出; 
           (喫煙、高血圧、低HDL-コレステロールの有無をチェック)

 冠動脈疾患リスク分類   低リスク  中程度リスク 中程度ハイリスク

      男性・        74.4%   18.1%     7.5%

      女性・        88.2%   10.4%     1.4%  

  ・NCEP ATPIII 2004年版による薬物治療開始基準;

     LDL-コレステロール値(mg/dl)  総コレステロール値(mg/dl)

・低リスク;       ≧190              ≧270

・中程度リスク;    ≧160              ≧235

・中程度ハイリスク  ≧130              ≧200

  以上の基準から判断しますと、我が国での糖尿病患者にあって、血中のLDL-コレステロール値を130mg/dl以下、総コレステロール値を200mg/dl以下にする必要があるのは、男性7.5%、女性1.4%となると判ります。

  我が国でのスタチン系薬剤を用いた脂質低下療法の代表例の臨床成績《「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」(日本動脈硬化学会)》では、心血管死亡の低下に有効性を認められた試験成績はありません。

 その結果は、多くの必要のない薬剤投与が成されたことを示しています。

 我が国の治療開始基準に問題があることが判ります。

 次に、本年「脂質代謝異常症」と病名が改められた、我が国の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」での「リスク別脂質管理目標値」を見てみます。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・コレステロール値やLDL-コレステロール値の丸め値ではニードに答えられない」 です)

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低コレステロールが発病を増す疾患・・27

 高齢化と血中コレステロール、LDL-コレステロール、HDL-コレステロール、及び、BMIのまとめ・・その2

 ・・・LDL-コレステロール値;


  高LDL-コレステロール値が問題となるのは

   一次予防としてのLDLーコレステロール値と死亡率:

    ・ 65歳以上の男性では、LDL-コレステロール値(mg/dl)が、120~159の領域で、有意差を持って、死亡率は最低を示す。 しかし、160mg/dl以上では、若干の増加傾向にはあるが、有意差が認められるほどではありません
    ・ 更年期以後の女性では、LDL-コレステロール値が、男子同様、有意差を持って、120~159mg/dlの領域で、死亡率は最低となる。しかし、160mg/dl以上では、その死亡率の増加は、ほとんど認められません。 つまり、女性では、血中総コレステロール値同様、LDL-コレステロール値の高値も、特に問題とはあらないとなります


   二次予防としてのLDL-コレステロール値と死亡率:

   日本人糖尿病患者とLDL-コレステロール値、死亡率との関係を検討したコホート研究による疫学的検討があります(大櫛陽一、糖尿病ではコレステロールを何処まで下げる必要があるか、性差と医療、3,223-230,2006. 検査値と病気 間違いだらけの診断基準、p.120~122,2006).

    ・ 男性に死亡率が一番低いのは、LDL-コレステロール値(mg/dl)が、130~159です。
    LDL-コレステロール値が、160以上では、死亡率は増加となり、190mg/dl以上では、急速な死亡率の増加となります。


    LDL-コレステロール値が、130~159のグループに比して、190mg/dl以上では二倍以上の死亡率増加となります。

    ・ 女性では、LDL-コレステロール値の増加による死亡率の増加は認められていません。



  低LDL-コレステロール値は;


    血中LDL-コレステロール値も、コレステロール値と同様、低値による死亡率増加が、高値より危険性が高いのです。高値で危険性が増すのは、上述しましたように、男性糖尿病患者での、190mg/dl以上の場合です。


   一次予防としての低LDL-コレステロール値と死亡率:

   ・ 男性(65歳以上)では、LDLーコレステロール値(mg/dl)が、119以下で死亡率の増加となり、80mg/dl以下では有意差のある死亡率ぞうかとなり、39mg/dl以下は死亡率は6倍近い増加を示すようになります。

    ・ 女性(更年期以後)では、LDL-コレステロール値と死亡率の関係が、最低の120~159mg/dl域に比して、119mg/dl以下から、死亡率が有意差ある上昇を示すようになります
     LDL-コレステロール値が、39mg/dl以下では、4倍ほどの死亡率増加を示すようになります。 つまり、女性では、LDL-コレステロール値は、高くなっても、死亡率の増加を伴なわないが、その低下は、危険となると言うことです。

    
  以上より、男女共に、LDL-コレステロール値は、100mg/dl以下にはしないが良いのです

 次回は、男女、年齢別のLDL-コレステロール値、及び、心臓病との関係を検討とします。

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Friday, July 13, 2007

低コレステロール値が発病を増す疾患・・26

高齢化と血中コレステロール、LDL-コレステロール、HDL-コレステロール、及び、BMIのまとめ・・その1
 

 ・・・総コレステロール値; 

    
 高コレステロール値が問題となるのは

    ・ 家族性高脂血症は、280mg/dl以上にはならないように、取リ分け、男性の心筋 梗塞の用心となります。                                              

     ・ 男性の心筋梗塞の既往者、糖尿病などがある人、及び、喫煙者は、高コレステロールによるリスクに要注意です。                                      
 

一次予防としてのコレステロール値は: 

    ・ 男性では、200~240mg/dlを基準とする。上限値は、260mg/dl。

    ・ 女性では、200~260mg/dlを基準とする。
      特に、更年期以後は、280mg/dl。            
      逆に、更年期以後の女性では、低ければ、その理由をハッキリさせる必要あり
    

 低コレステロール値は;

   ・ 男女共に、180mg/dl以下にはしない。 
 
   ・ 200mg/dl以下は、死亡率の増加となると、注意レベル。

   ・ 男性では、70歳以上の高齢化による低コレステロール(180mg/dl以下)者は、35%以上となるから、要注意。                                 

   ・ 女性では、低コレステロール者は、70歳以上では15%前後となり、 男性とは、逆に、高値が問題となることは稀。 
              
    それ故に、女性の低値では、低値となる理由をはっきりさせるのが良い

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・コレステロールやLDL-コレステロール値の丸め値ではニードに答えられない」を取り上げています)

 (楽天、ミクシイでは「素肌美障害とコレステロール・・6」を取り上げています)

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Thursday, July 12, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・25

  高齢化と栄養・・その4・・高齢者のBMI低下と死亡率の増加 ・・

 BMI低下と死亡率について、検討します。

 BMI=18.5以下と20歳以上の男女と年齢別による分布%を、前回示しました65歳以上と比較するために、まとめて、以下に示します。


BMI=18.5以下(痩せ)の分布%  

年 齢      女 性    男 子
20~69    9.8     3.5
40~69    6.1     2.4
65~69    7.7      3.7
70~74    9.8     8.7
75~79    7.0     8.1
80~84   10.4    16.5
85歳以上   15.4    10.3
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 以上より、Dr.BEAUT・ソフィーリッチの「動脈硬化性疾患の予防と治療・・25」で紹介しましたように、女性では、15歳から39歳にかけて、BMI=18.5以下の分布が15~20%あり、男性より『痩せ』の分布%が高いことが解ります。

 大櫛陽一著『検査値と病気 間違いだらけの診断基準』(太田出版)のp.68に、男女と年齢別のBMIレベルと死亡率の図からの解説です。

人当たりの死者数

                  60歳代    70歳代     80歳代
    女性; 
     BMI=18.0 以下  およそ千    およそ3千    およそ9千
        
     BMI=18.1~20  およそ7千   およそ1.3千  およそ7千

     BMI=22.1~25  およそ0.5千  およそ千    およそ5千

     BMI=25.1~30  およそ0.5千  およそ千    およそ5千

    男子; 
     BMI=18.0 以下  およそ3千   およそ7千   およそ16千

     BMI=18.1~20  およそ1.3千  およそ2.8千  およそ8.5千
      
     BMI=22.1~25  およそ0.8千  およそ1.2千  およそ4.5千

     BMI=25.1~30  およそ0.8千  およそ千    およそ4.6千
     

    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 男女共にBMIが20以下で死亡率が高くBMIが、我が国の肥満に属する25以上となっても、死亡率の増加は無いと判ります。

 女性では、更年期以後の高コレステロール血症が続くことが長寿と関連している可能性があり、70代になると急速な低コレステロールの進む男性では、BMI低下による死亡率が増加すると考えられます。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・BMI/痩せが危険・・その4」を取り上げています)

 (楽天、ミクシイでは「素肌美障害とコレステロール・・その5」を取り上げています)

 (はてな日記では『オタピー茶の湯; 日常茶飯の「こころ」・・7』を取り上げています)

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Wednesday, July 11, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・24

  高齢化と栄養・・その3・・BMI=18.5以下の痩せんが危険・・


 栄養条件のパラメータとして、BMI(Body Mass Index)を指標とした、肥満と痩せに注目します。

 BMI=体重(Kg)/身長X身長(㎡)

  つまり、体重を身長(m)の二乗で割って、算出した値です。

 BMI=25.0以上が肥満、BMI=18.5~25.0の範囲が普通、BMI=18.5以下を痩せ/低体重と判定するのです。

 Dr.BEAUT・ソフィーリッチの「動脈硬化性疾患の予防と治療・・24  動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・24・・BMI/痩せすぎが危険・・その2」で取り上げましたように、BMI低下によって、低コレステロール障害と同様に、ガンや感染症死、骨粗鬆症や骨折などの発症が増すのです

 高齢者では、肥満による死亡率の増加は、ほとんど、認められてはいないのです(Dr.BEAUT・ソフィーリッチ;同上)

 我が国で、65歳以上の男女で、年齢別の痩せの分布がどの位かを、厚労省の2004年度国民健康・栄養調査報告書から、以下に示します。


 BMIの状況(%)
          痩せ           普通         肥満               
       BMI=18.5以下    18.5~25        25以上 

  年齢     男   女      男   女      男   女

 65~69    3.7   7.7     65.2  60.9    31.3  20.6

 70~74    8.7   9.8     60.3  61.5    31.0   28.7

 75~79    8.1   7.0     65.1  63.4    26.7   29.6
 
 80~84   16.5   10.4    70.6  65.2    12.9   24.3

 85歳以上  10.3   15.4    74.4  69.2    15.4   15.4

 以上より、BMIが18.5以下の痩せグループは、若い世代ほどの顕著な差は、認められません(本日のDr.BEAUT・ソフィーリッチ「動脈硬化性疾患の予防と治療・・25」で取り上げています)

 65歳以上で、痩せの危険性のある人は、男女共に、10%だと判ります

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・BMI/痩せが危険・・その3」を取り上げています)

 (楽天、ミクシイでは「素肌美障害とコレステロール・・その4」を取り上げています)

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Tuesday, July 10, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・23

  高齢化と栄養・・その2・・HDL-コレステロール・


 HDL-コレステロールは、善玉コレステロールと呼ばれて、高ければ良いと思われがちですが、男性では、そうとも言っておられないのです


 既に、取り上げてきました、血中総コレステロール値、LDL-コレステロール値ともども、低いほど、その死亡率は上昇するとの共通性はあります。

 次回に、紹介しますBMIにあっても、低下に伴なった死亡率は上昇するのです(Dr.BEAUT・ソフィーリッチの「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・BMI/痩せが危険」参照)。

 つまり、『コレステロール関連について』、高ければ危険と言ってはおられない、勘違いは多いのが現実だと思います。

 しかし、男性でのHDL-コレステロール値については、高くとも、低くとも、死亡率は上昇するのです

 HDL-コレステロール値と死亡率について、大櫛陽一著「検査値と病気 間違いだらけの診断基準』(太田出版)に、調査データが取り上げられていますので、紹介します。

 郡山市と伊勢原市での、9540人の男性(65.5歳±10)、1万8942人の女性(62.6歳±10.8)の追跡調査です。

 HDL-コレステロール値と5年死亡率が示されています。

 男性; 死亡率が一番低くなったのは、HDL-コレステロール値=40~59mg/dlの領域でした。

    しかし、60以上と上昇すると、死亡率も上昇して、90~99領域では、およそ二倍の死亡率増加と、有意差ある上昇となっています。

    逆に、39以下でも、死亡率は増加傾向となり、29以下では、40~59域に対して、3割ほどの死亡率の増加となるのです。

 女性; 女性では、HDL-コレステロール値と死亡率との関係は、男性とは異なったパターンを示します。

    死亡率が最低となるのは、HDL-コレステロール値=60~79mg/dl域です。

    しかし、それ以上の上昇を伴なっても、男性のように、死亡率の増加は示さずに、ほぼ一定の水準にあります。

    一方、59以下の低値では、次第に、死亡率は増加を示して、29以下では、60~79域に対して、死亡率は三倍ほどの増加でした。

    以上、女性では、HDL-コレステロール値は、60以上の高値に保つのが良いのです

    女性では、LDL-コレステロール値が、120mg/dl以上で、死亡率は変わらないとの事実と相関していることになります。

    つまり、女性にあっては、コレステロール値ともども、低値に要注意が肝心なのです。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・BMI/痩せが危険・・2」を取り上げています)

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Monday, July 09, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・22

  高齢化と栄養条件・・その1

 高齢者と栄養については、今だ、本格的な研究、検討が求められている段階だと思います。

 コレステロール、LDL-コレステロール、中性脂肪の値を検討するだけでも、どのような値にあるのが良いかも、不明な状況にあると言っても、良いのです

 そもそも、高齢者でなくとも、上記の値が、如何なる値が良いかも、不明朗な状況にあると言えます。

 取り分け、我が国では、何事につけても、判定基準を明確にして、評価する体質に乏しい処があります。

 血中総コレステロール値(TCH)を例に取って、示します。

 TCHは、動脈硬化性疾患のためにだけある訳ではありません

 しかし、現実には、“TCHは高いのが危険!!”とキャッチコピー的流布によって、その意味をはっきり認識することは無く、大部分の人は、高いのは危険と、下げることに、一生懸命な状況にあります。

 TCHと動脈硬化性疾患による死亡の危険にあっても、男女、年齢による差、特徴があるのです。

 また、TCHが低下しても、動脈硬化性疾患による死亡の危険は、増すのです。

 動脈硬化性の心血管性疾患死も含めた、ガン、脳出血、感染症、自殺・事故などによる死亡も、TCHが、200mg/dl以下、取り分け、180mg/dl以下の死亡が、著しく増加するとの認識は、大部分の人には、無いのが現状にあります。

 LDL-コレステロール値にあっても、上述の動脈硬化性疾患やガン死等を含めた、総死亡では、我が国では、150mg/dl以下とあるのですが、男性では、160md/dlでも、特別の、総死亡増加の状況にはありません。

 女性では、ムシロ、LDL-コレステロール値の上昇によって、総死亡が減るとの報告があるのです。

 しかも、男女共に、LDL-コレステロール値は、100mg/dl以下で、総死亡は上昇する危険にあるのです。

 それ故に、動脈硬化性疾患やガンと、それぞれの疾患による死亡の危険と、総合的な、その人が死ぬ可能性とは、区別して考える必要があるということです。

 そうした、総死亡との関連は、栄養条件の反映でもあります、HDL-コレステロール、肥満のパラメーターのBMIとの関係も、検討しておきましょう。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・BMI/痩せが危険・・その1」を取り上げています)

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Thursday, July 05, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・21

  高齢化とトリグリセライド(中性脂肪)・・その3

 トリグリセライド(中性脂肪)の低値は、肥満のパラメターのBMI(Body Mass Index)が18.5以下の低体重のやせの人に多いのです。

 また、低コレステロール値(180mg/dl)以下の危険域の人が、多いのが事実だと思います。

 低トリグリセライド(中性脂肪)が危険域となるのは、血中トリグリセライド値60mg/dl以下となります

 そこで、今回は、厚労省の「平成16年度 国民健康・栄養調査報告書」(第一出版)より、高齢化(65歳以上)による、男女別、年齢階層別の低グリセライドを伴なう分布%を示します。

 報告書では、血中トリグリセライド値が、79mg/dl以下となっており、60以下との調査とはなっていませんので、79mg/dl以下の分布%で示します。

   年齢       トリグリセライド値79mg/dl未満以下の分布%

                 男性        女性
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
  65~69         11.3       14.8

  70~74         19.4      14.5

  75~79         22.7      10.0

  80~84         28.8      15.1

  85歳以上        45.4      21.3

  
  70歳以上        23.3      13.6
  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・

  以上より、低トリグリセライド(中性脂肪)の危険性のある人は、男性に多いと判ります。

  高齢化に伴なった危険性は、低コレステロール同様、男性にあります。

  男性は、高齢化による厳しさに、女性より曝されていると、ご用心です。

  (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・BMI/肥満」 を取り上げています)

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Wednesday, July 04, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・20

  高齢化とトリグリセライド(中性脂肪)・・その2

 今回は、大櫛陽一著「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」(太田陽一)による、血中トリグリセライド(中性脂肪)値について、50歳以上の年齢階級別、性別による目標とする上下値を知っておきましょう。

 男性; トリグリセライド値の目標範囲の上値(mg/dl): 

     ・50~59歳代では、上値は120レベル

     ・60~74歳では、上値は115レベルに低下

     ・75~79歳では、上値は100レベルに低下

    トリグリセライド値の目標範囲の下値(mg/dl):

     ・50~59歳代では、下値は60レベル

     ・60~79歳で、下値は65レベル

 女性;トリグリセライド値の目標範囲の上値(mg/dl):

     ・50~54歳では、上値は80レベル。 55~59歳では、上値は100レベル

     ・60~64歳では、上値は100レベル

     ・65~69歳では、上値は110レベル

     ・70~74歳では、上値は115レベル

     ・75~79歳では、上値は120レベル

    トリグリセライド値の目標範囲の下値(mg/dl):

     ・50~59歳では、下値は50.3レベル

     ・60~64歳では、下値は60レベル

     ・65~69歳では、下値は50.5レベル

     ・70~79歳では、下値は60.8レベル


 以上より、男性では、目標上値は、50~74歳までの年齢では、トリグリセライド値は120mg/dlレベルとあまり変動がないことを示しています。

 しかし、75~79歳では、100mg/dl間で、急速に低下していることを示しています。

 男性の目標下値は、50~79歳まで、ほとんど変わらず、60レベルにあります。


 女性では、目標上値は、50~54歳の更年期年齢では、80レベルと低めにありますが、55~64歳にかけて、100レベルまで上昇をしています。

 更に、65歳以上79歳までの年齢まで、少しずつ上昇傾向にあり、110から120レベルとなっています。

 一方、女性の目標下値は、50以上の年齢で、少しづつの上昇傾向にはありますが、60前後のレベルで、あまり変動は認められないと言えます。

 まとめますと、次のように言えると思います。

 ・男性では、トリグリセライド(中性脂肪)目標範囲上値は、50~74歳の範囲では、120mg/dl。

  但し、75歳以上になると、低下して、100mg/dlとなる。

  目標範囲下値では、50歳以上の年齢では、60mg/dl と、変動は、ほとんどない


 ・女性では、トリグリセライド(中性脂肪)目標範囲上値は、50歳以後の更年期年齢から、上昇を始めて、80mg/dlレベルから、75歳以上では120mg/dlまでとなる。

  目標範囲下値では、50歳以上から、わずかな上昇傾向を示すが、男性同様、60レベルにある



 トリグリセライド(中性脂肪)では、既に取り上げました、血中コレステロール値同様、男性の高齢化に伴なった目標範囲上値の低下に注意が必要となり、女性では、逆に、上値が低下する場合は、何故の低下なのかと、その理由を検討する必要があるとなります

 次回は、男女、年齢階層別に、トリグリセライド(中性脂肪)の低値を示す%分布を検討します。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・BMI/肥満」をとりあげています)

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Tuesday, July 03, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・19

  高齢化とトリグリセライド(中性脂肪)

 中性脂肪のトリグリセライドは、体内で脂肪が蓄積される時になる形です。

 生体内で、余分のエネルギーが出来上がり、生じた時に、蓄積に回されるカロリー源となります。

 生体内のエネルギー、カロリー物質は、良く知られていますように、糖質、脂質、タンパク質です。

 それぞれは、その優先ルールなども含めて、生体内の代謝ルートにしたがってコントロールされて、エネルギーに変換されるのですが、余分なカロリー物質は、トリグリセライドとなって、脂肪細胞に蓄積されるようになります。

 メタボリックシンドローム(メタボリック症候群、代謝症候群)は、余分なエネルギー過剰となった故に、内臓脂肪細胞に蓄積されている状態の脂肪細胞が増えすぎた病態を言っているといえます。

 そして、その脂肪細胞が、アディボカインまたは、アディポサイトカインと呼ばれる内分泌因子の分泌異常によって、動脈硬化性疾患の促進よ誘発すると警戒されているのです(Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは、既に、アディボカインについて取り上げました)。

 それ故に、血中のトリグリセライド量は、個々の人のエネルギー状態を示すパラメーターと言えます。

 つまり、エネルギーの過剰状態が続けば、血中のトリグリセライド値は上昇して、ドンドン、内臓脂肪細胞に蓄積されて、肥満状態になっていきます。

 逆に、エネルギー不足状態が続けば、備蓄エネルギーの消費によって、補うことになります。

 つまりは、体重減少、痩せる方に向かうことになります。

 コレステロールは、エネルギー源とはなりませんから、食事や運動の影響は顕著ではありませんが、トリグリセライドは、モロに影響を受けるのです。

 以上より、血中トリグリセライド値は、それぞれの人の値としては、短期間の内でも変動が大きいと判ります。

 一度だけの測定によって、高低は決め難いのです。

 今回、ここで、高齢化とトリグリセライド(中性脂肪)と題して、取り上げましたのは、高齢化に伴なった、その特徴を知っておくためです

 コレステロールは、体内の構造成分としてや、ステロイドホルモンや胆汁酸などの機能性成分としての役割が強いのです。

 一方の中性脂肪のトリグリセライドは、エネルギー成分の状態や蓄積としての意味、脂肪細胞を介する内分泌因子の分泌代謝状況を反映しているのです。

 高齢化に伴なった血中トリグリセライドの特徴と、その意味を検討してみましょう。

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・BMI/肥満」を取り上げています)

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Monday, July 02, 2007

低コレステロールが発病を増す疾患・・18

  高齢化と低コレステロール・・その2

 高齢化に伴なって、血中総コレステロール値の低下が顕著となるのは、男子です。

 女性では、更年期以後、高齢化に伴なった低コレステロールとなるよりは、ムシロ逆に、高コレステロールとなる傾向にあります。

 それ故に、女性の更年期以後の人達で、低コレステロールが認められる場合は、その理由をハッキリさせる必要があるといえます。

 2004年(平成16年度)の厚労省が発表した「国民健康・栄養調査報告」(第一出版)より、高齢者の70歳以上の男女での総コレステロール値の分布%を示します。

 20歳以上の男女それぞれでの血中総コレステロール値が179mg/dl以下の人達の分布%;

    男子: 30.3%      女子: 22.6%

 70歳以上の男女それぞれでの血中総コレステロール値が179gm/dl以下の人達の分布%;

    男子: 38.0%      女子: 15.7%

 20歳以上の男女に比して、血中コレステロール値の分布%は、以下の如くにまとめられます。

  男子では、70歳以上の低コレステロール値として、問題となる179mg/dl以下となる分布%は、38.と20歳以上の人達の30.0%より、増加している。

  しかし、逆に、女性では、70歳以上の血中コレステロール値が179mg/dl以下となる分布%は、15.7%で、20歳以上の分布%の22.9%より、低下しているとわかります。

 もう少し詳しく検討します。


    年齢      65~69  70~79  75~79  80~84  85歳以上

 血中総コレステロール値   
 179mg/dl以下の分布
     (%)

    男性;     27.8    36.5    39.3    35.6   50.0

    女性;     15.9    13.6    17.4    19.2   15.1
    

  以上より、男性では、70歳以上となると低コレステロールとなる人が、急に増加することを示しています。

 一方の女性では、70歳以上で、低コレステロールとなる人が、増加する傾向は明らかではありません

 こうした事実より、私は、以下の如くに推測しています。

 高齢化に伴なって、女性群は、あまり、認知能力の低下を伴なうことなく、元気な人が多い

 逆に、男性群は、70歳以上となると、低コレステロール値が問題となる179mg/dl以下の人では、元気、活力が、意欲も含めて、低下する人が多くなる

 そして、認知能力の低下を招く人が多い?

 高齢化と低コレステロール値が179mg/dl以下となった場合、男性は、その改善が必要だと示唆していると思います

 女性では、逆に、何故に、179mg/dl以下の低コレステロール値となっているのかの検討が必要なのだと示唆していると思います

 (Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは「動脈硬化性疾患の新たなる危険因子・・BMI/肥満・・その5」を取り上げています)

 (楽天ブログ、ミクシイでは「素肌美障害とコレステロール代謝・・ビタミンD・・その7」を取り上げています)

 (はてなブログでは『オタピー茶の湯; 日常茶飯の「こころ」』を取り上げています)       

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