何故に、高脂血症の病名は消え、
血中コレステロール値は診療指針から削除されたか・・1
アメリカの国立心臓血管研究所によるアメリカ国民の36万人を越える人達を対象とした疫学研究MRFIT(Multiple Risk Factor Intervention Trial)(1986年に論文発表)によって、血中コレステロール値が192mg/dl以下で、ガン死、脳出血、感染症、外傷その他による死亡が増すとの事実は報告されていました。
そして、我が国でも、そうした疫学的事実は研究され、発表されていました。
しかし、“高コレステロール病”の前に、そうした「低コレステロールの危険」と言う事実は、あまり、周知されることなく、今日に至っているとも言えます。
それでも、今回、日本動脈硬化学会も、改めざる負えなくなったというのが現実ですが、マダマダ、“高コレステロール神話”は、あまり、積極的に改めようとの姿勢が乏しいのが現実です。
我が国の日本動脈硬化学会は、既に、1997年に定められた「高脂血症診断ガイドライン」を改定して、「動脈硬化性疾患診断ガイドライン2002年版」を発表しています。
そこで、既に、血中コレステロール値の基準は定め難く、コレステロール値は参考値に過ぎなくなっていました。
あまり、目立つような周知が為されていませんでした。
そして、今日でも、国民的な“高コレステロール恐怖症”は続いていると言えます。
しかしながら、国民病的に“高コレステロール病”恐怖症が流布しているにしては、今回の病名“高脂血症”が改名され、「脂質異常症」となり、診療基準は改められ、“コレステロール値”が排除されるようなドラスチックな変化にしては、静かな情報発信となっているのが現状と思います。
今回の動脈硬化学会の変化は、一つには、コレステロールと動脈硬化との関係が、血中コレステロール値で語れるほど単純ではなくなったことが、先ず、上げられます。
もう一つは、2002年に発表された我が国のJ-LIT(Japan Lipid Intervention Trial)と呼ぶ我が国、日本での全国5万人以上の“高脂血症患者(血中コレステロール値220mg/dl以上の患者)”を6年間に渡って、スタチン系コレステロール低下薬の効用を追跡した試験で、低コレステロールに伴なった心筋梗塞死の増加のみならず、ガン死、脳出血死、感染症死、自殺・事故死などが増加して、総死亡率が2.7倍ほど増えてしまったとの結果にあると思います。
ツズケテ、J-LIT研究や動脈硬化の病態について取り上げたいと思います。
(楽天ブログ「低コレステロールを上げる元祖」 、Dr.BEAUT・ソフィーリッチのブログ「低コレ & ローコレ日記」に関連内容を取り上げています)
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