何故に、高脂血症の病名は消え、
血中総コレステロール値は診断基準から削除されたか・・3・・
米国人と日系ハワイ人男性のコレステロール値と死亡率
MRFITといわれる米国人男性35万以上(35~57歳)を対象とした総コレステロール値と死亡との関係を観察した疫学調査があります。
12年間も追跡して、2万五千人ほどの死亡を観察しています。
もう一つ、米国人の日系ハワイ男性で8千人近い人達を血中コレステロール値と死亡を対象として、18~21年追跡して、2千人以上の死亡を観察した疫学調査があります。
それぞれの結果を概観したいと思います。
話題の大櫛陽一著「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」(太田出版、2006年)のpp.105~109に上手くまとめてあります。
その本を参考にしてお話します。
MFRITです。
心血管系疾患での総コレステロールレベルとその死亡リスクでは、コレステロール値が240mg/d(以後・mg/dlは省略)l以上で上昇して、160にかけて死亡リスクは減少しました。
それに、ガン死とその他、感染症などでの死亡を追加しますと死亡率は様相は穏やかとはいえません。
つまり、ガン死は240以上で減少して199以下で上昇に転じ、160以下では1.3倍の増加となりました。
その他の感染症、事故・自殺、脳出血などによる死亡にあっては、やはり、199以下で上昇に転じ、160以下では1.6倍以上の増加となったのです。
その結果として、全体の相対死亡率は、コレステロール値200~239を基準とすると1.2倍ほど増すとなります。
次に、日系ハワイ人男性のデータはつぎのようです。
冠動脈疾患、つまり、心筋梗塞死は、コレステロール値が230mg/dl(以後mg/dlは省略)以下ではほぼ横ばいでした。
ガン死は、コレステロール値が270に比して、180以下では二倍以上の死亡率となりました。
そして、冠動脈疾患、ガン、事故、その他の原因による総死亡率は、死亡が最低となる210~239に比して、180以下では1.3倍ほどの増加となったのです。
また、180以下でのガン死は冠動脈心疾患死に比して、3.8倍ほど多いのです。
つまり、血中コレステロール値が180以下の低コレステロール値のよる死亡の方が、総死亡で判定すると危険が高いということです。
この結果は、既に取り上げました、我が国のJ-LIT研究と同様の傾向を示していると判ります。
これでは、低コレステロールの意味を問い直す必要があるのは当然と言えます。
その他の国内調査についても、次回取り上げましょう。
(楽天ブログ、ミクシィに、本日は「低コレステロール血症の原因となる疾患・・3」を書いています)
(Dr.BEAUT・ソフィーリッチに、本日は「高コレステロール治療ガイドライン・・3」を書いています)
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