何故に、高脂血症の病名は消え、
血中コレステロール値は診断基準から削除されたか・・7・・
日本の血中総コレステロール値と死亡率・・4
大櫛陽一著「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」(太田出版、2006年、5月)のpp.35~36の「総コレステロールを下げると死亡率が上がる日本人」のチャプターに、既に、取り上げましたように、神奈川県伊勢原市と福島県郡山市のデータの他に、大阪の八尾市と守口市、福井市、茨城県での追跡調査で、低コレステロールに伴なう死亡率の増加が、同様に認められると紹介されています。
浜六郎著「コレステロールに薬はいらない!」(角川書店、2006年、9月)には、前回紹介の「NIPPONN研究」のデータの他に、八尾市、茨城県の大規模調査が、JーLIT研究と共に、pp.39~81かけて取り上げられています。
また、p.81~88にかけては、韓国人男性、日系アメリカ人男性、オランダの高齢者を対象とした調査による「低コレステロール値」と「ガン死などによる総死亡の増加」を取り上げています。
八尾市のデータでは、血中総コレステロール値が、240~279mg/dlで、総死亡の危険度は最低となり、男女合計を見ると160mg/dl以下では、1.6倍の総死亡危険度の増加となっていました。
但し、コレステロール値が280mg/dl以上となれば、男女合計の総死亡危険度は、1.6倍と、ほぼ低下の場合と同程度の増加となっていました。
ガン死では、血中総コレステロール値が、280mg/dl以上で、死亡危険度は最低となり、160mg/dl以下となれば、男女合計では、1.8倍ほどのガン死増加となっているのです。
男性でのガン死増加は、160mg/dl以下では2.7倍とあります。
但し、女性でのガン死増加は、認められていませんでした。
次に、茨城県で大規模調査では、次のようでした。
コレステロール値が240mg/dl以上を基準として、コレステロール値低下に伴なって、心筋梗塞死は、僅かな減少傾向、脳卒中は、僅かな増加傾向にありました。
しかし、総死亡率は、240mg/dl以上に対して、160mg/dl以下では二倍の増加となっています。
ガン死では、二倍以上の増加が認められてたのです。
以上から、低コレステロールに伴なって、総死亡の増加、ガン死の増加は、海外も含めて、事実だと言えます。
こうした調査での死亡率やガン死の増加は、調査期間が5,6年以上で、既に認められると言うことです。
以上のような「低コレコレステロールに伴なうガン死を含む総脂肪の増加」の事実は、今回の日本動脈硬化学会の「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」で、「脂質異常症」への病名変更と診断基準からの「血中コレステロール値」の削除につながったと思います。
(Dr.BEAUT・ソフィーリッチでは、本日、「高コレステロール治療のガイドライン・・7」を取り上げています)
(楽天ブログ、ミクシィでは、本日は「低コレステロール血症の原因となる疾患・・肝機能障害・・5」です)
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