何故に、高脂血症の病名は消え、
血中総コレステロール値は診断基準から削除されたか・・5・・
日本の血中コレステロール値と死亡率・・2
今回から、浜六郎著「コレステロールに薬はいらない!」(角川書店、2006年9月)から、日本人を対象とした総コレステロール値と死亡率のお話に移ります。
先ず、「NIPPON研究」(NIPPON DATA;National Integrated Project for Prospective Obseravation of Non-communicable Disease And its Trends in the Age)と言われる1980年に開始された、我が国の対象者が全国の300地区からのランダムサンプルで選んで、厚労省による国民的なプロジェクトによる追跡調査を行っている研究からの検討です。
一万人近い人達の調査追跡で、現在も、5年おきに65歳以上の生存者に調査が行われています。
今回の日本動脈硬化学会による、「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007年版」で、血中コレステロール値を削除した理由となるデータは、この研究によっていると言えます。
そのガイドラインに次のような記載があります(動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007版、日本動脈硬化学会編、協和企画、2007年4月)。
「NIPPONN DATA80にて男女合計のTC(血中総コレステロール値)160~179mg/dlの群に対して200~219mg/dlの群では冠動脈疾患死亡の相対危険度が1.4倍、220~239mg/dlでは1.8倍になる」とあります。
しかし、ツズイテ、「TC値の上昇に伴ない、冠動脈疾患発症率・死亡率は連続的に上昇し、明確な閾値は認められないので,高TC血症の境界を設定することは困難と思われる。」となったからなのです。
その根拠となった論文は、OKAMURA T らによる「for the NIPPONN DATA80 research group : The relation between serum total cholesterol and all-cause or cause-specific mortality in a 17.3-year study of a Japanese cohort. Atherosclerosis,190,216-223,2007」。
しかし、動脈硬化学会によるガイドラインには、ガン、脳出血、感染症、事故・自殺などを含めた総死亡とコレステロール値やLDLコレステロール値についての検討がなされて決められたものではなく、あくまでも、「動脈硬化性疾患予防としてのガイドライン2007年版」だとの認識が必要です。
一般の人達が、そうしたガイドラインだとわかるような情報発信をする必要があると思います。
そこで、浜六郎著「コレステロールに薬はいらない!」の「NIPPONN DATA」の「NIPPONN研究」紹介の解説に移ることにします。
(楽天ブログ、ミクシィは、本日、「低コレステロール血症の原因となる疾患・・5・・肝機能障害・・3」を取り上げています)
(Dr.BEAUT・ソフィーリッチに、本日は、「高コレステロール治療ガイドライン・・5」を取り上げています)
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