俯瞰的思考は、絵巻物に始まり、我が国の伝統だと言えます。
喫茶文化は、まず、嵯峨天皇による漢文化志向、嗜好に始まり、栄西以後の鎌倉を経て、室町期になると次第に和文化の独自性が発揮されだしたと思います。
南北朝の混乱を治めた室町幕府三代将軍・足利義満は、時を同じくして始まった明との貿易によって、今日の茶の湯の名物や美術品のコレクションを行っていますが、和の文化の創生者でもあります。
義満はPOP-Kitsch-サブカルチャーと言える和文化をハイカルチャーに高めています。
身分的に低かった人達の申楽を能楽として、今日の日本を代表する文化に育成しています。
世阿弥の優れた感性を育て上げ、歴史上の人物としました。
その世阿弥は「風姿花伝」を始めとしてシェィクスピアより早い芸術論や戯曲を書き上げています。
平安期の紫式部の長編小説「源氏物語」と共に、世阿弥の芸術論「風姿花伝」は、世界で最初の文化なのです。
これまた世界で始めての源氏物語絵巻は、俯瞰的鳥瞰図となっています。
一方の有名な世阿弥の芸論「秘すれば花なり、秘せずば花なるべからず」は、斉藤孝が「声に出して読みたい日本語」に記していますように、「ただ演技をするのではなく、演技している自分を離れたところから見つめるもう一人の自分を意識のなかにもつこと」、世阿弥の言葉を借りれば「離見の見」が必要なのです。
つまりは、「俯瞰思考」が求められているのです。
「俯瞰思考」は、和歌、連歌を取り込んで発展した日常茶飯の生活文化・茶の湯にあっても引き継がれています。
POP-Kitschーサブカルチャーとハイカルチャーとの界を紛らかす文化は、「俯瞰思考」が必要条件となると判ります。
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