何故に、高脂血症の病名は消え、
血中総コレステロール値は診断基準から削除されたか・・4・・
日本の血中総コレステロール値と死亡率・・1
我が国にも、血中コレステロール値が下がるとガン、感染症、事故・自殺等による死亡率が上がるとの報告は沢山あります。
前回に続いて、大櫛陽一著「検査値と病気 間違いだらけの診断基準」(太田出版、2006年5月)に紹介してある神奈川県伊勢原市(人工10万人)と福島県郡山市(人口30万人)を対象とした五年間にわたる老人基本検診受診者の調査結果です(pp.35~36)。
一年以内の死亡者は除いてあります。
また、両市でのベースラインでのガン検診の異常率には差が無かったとのことです。
それ故、「もともとガンでコレステロール低かった」との指摘を排除するためす。
転出したりしてフォロー不能になったり、一年以内の死亡者を除いて、追跡可能だったのは、男性9540人、女性1万8942人でした 平均年令は男性65.5歳、女性62.6歳でした。
その結果は以下の如くです。
伊勢原市と郡山市の両市を統合した男女別々の「血中総コレステロール値と五年死亡率」として整理です。
合計で、2万8482人のまとめとなります。
男女共に、血中総コレステロール値が220~239mg/dlで死亡率は最も低かったのです。
そして、総コレステロール値が200~219mg/dl以下になると死亡率は上がり、160~179mg/dl以下になると男女とも、統計的な有意差を持つほどに、五年死亡率は上がってしまいます。
血中総コレステロール値が179㎎/dl以下になると低下すればするほど五年死亡率は上昇したのです。
しかも、日本動脈硬化学会が基準値としていた220mg/dl以下で、死亡率が上がってしまう結果だった事を示しています。
一方、血中総コレステロール値が240mg/dl以上になっても死亡率は上昇しました。
しかしながら、男女共に、最低死亡率だった220~239mg/dlに比して、有意差ある死亡率上昇とはなっていませんでした。
つまり、血中総コレステロール値低下で死亡率が上がるとの結果は、前回紹介しました、日系ハワイ人男性での結果と総コレステロール値210~239md/dlで一番死亡率が低かったとの一致すると判ります。
また、p.108には、白崎昭一郎の研究論文として、福井市男性3万7379人の五年間の追跡調査として5年死亡率を示しています。
その結果では、ガン死は、血中総コレステロール値が250mg/dlで最低となり、コレステロール値が下がれば下がるほど増すとの結果でした。
また、脳血管死、その他の死因にあっても、ガン死と同様な傾向でした。
心疾患死亡は、221~250mg/dlのコレステロール値で最低を示し、250md/dl以上では上昇でした。
しかし、心血管死の上昇にあっても、220mg/dl以下で死亡率は上昇傾向を示し、130mg/dl以下になると250mg/dl以上の死亡率以上の死亡率増加を示しています。
この福井市の結果では、血中総コレステロール値は、「低ければ低いほど危険」といえるものです。
次回は、浜六郎著「コレステロールに薬はいらない!」(角川書店、2006年9月)より、日本人対象の血中総コレステロール値と死亡率についての成績を紹介したいと思います。
(楽天ブログ、ミクシィに、本日は「低コレステロール血症の原因となる疾患・・4」を書いています)
(Dr.BEAUT・ソフィーリッチに、本日は「高コレステロール治療ガイドライン・・4」を書いています)